2019年8月12日月曜日

随分と更新が滞っていました。

皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
余りに更新がないので、どうしているやら?とご心配いただく有様...。
なんとか生きております。

余りに間が空いてしまって、何を書こうか...と。笑

そうそう、先日、Giovanni Michelucci(ジョヴァンニ・ミケルッチ)という
建築家について検索していたところ、見つけたサイトの事を...。

「東京大学創立120周年記念東京大学展」
建築のアヴァンギャルド・学問の過去・現在・未来
東京大学の創立120周年を記念して1997年に開催された展示とその図録

この中の「空間の覚醒」セルジオ・カラトローニ氏の文章
がサイトで公開されていて、何の気無しに読んでみるととても面白かった。
散文の様なもので、気になった事をささっとメモに書き留めたような
ほんの短い言葉も有れば、少しまとまった内容のものも有り
建築の事ではない事もあれこれ書かれている。
(アルファベット順に小見出しが付いている)
何が面白いのか?と言われると、説明に困るのだけれど。笑
イメージを言葉にしている、言葉がイメージでもある。

ジョヴァンニ・ミケルッチに関しての部分だけ
少し長いけれど以下に引用させていただく。

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Architettura[建築] フィレンツェの丘の上にある、ジョヴァンニ・ミケルッチの住まいの、すばらしい居間で話し合った建築についての四方山な話題。確か、春あるいは秋の、ある午後のことだったと思う。

 見事な秩序で整理された、ちりひとつない室内は、トスカーナ人特有の質実さによって生み出されるもの。芸術は空気と同様に無意識の内に、しかし必然的に吸い込むものであって、抽象的な理念や語るために語るものではない、ということを説明もなしに感じとらせるかの室内の様子である。優雅で質実剛健な、年老いた紳士の住まいの、このような居間に私は座っていた。喧騒とは無縁の空気にあった。

 控え目で潔白。偉大な老人達に特有のもの憂げな落ち着きをもって、この、ジャコメッティの彫像のように細長いからだの上に白髪の頭が連なった老建築家は、私を眺める。祈りや瞑想は、すでに暮らしに欠かせぬ要素となって組み込まれているのだ、と言う。巨匠の灰色の瞳は、これまでに設計を行った幾つもの建築作品やそれらの建つ場所を偲んでは、その都度、感動でうるむ。

 木の幹や木の皮をスケッチするために、オリーブの樹々の間を散歩するのだ、とも語っていた。年取った木の皮の下を、無数の蟻が往つたり来たりする様子について、上品な表現で克明に話してくれもした。空に散る星や星座についても語ってくれた。デザインの行為において最も重要な部分は、実は、思考のエネルギーの部分なのである、と強調していた。

 そして、老建築家はこう言った。「私の願いは、永遠の休息につくことなのだ」と。「愛する恋人を待つかのように、毎日、永遠の眠りが訪れるのを待っているのだ」と。「建築においては、規模の大小は問題ではない。大きさは、視点の純粋さの中に見出すべきだ」と。

 こうして私は、偉大な建築家達が、初めて何かを発見して喜ぶ偉大な子供達のような存在であることを悟った。彼等は共通して、空に向ける眼を持っている。そして、空を流れ落ちる星を指さすのである。

東京大学総合研究博物館 HPより
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イメージを言葉にしてみる事は大切だと思うし、思考の整理になる。

昔、旅先で見た建物や街並等をスケッチしたり、見たもの、感じた事、
食べた物などを小さなスケッチブックに書き留めまとめた事がある。
ごくたまに開いてみると、すっかり記憶から消えていた事がそこに書かれている。
そこから記憶が引き出されて、忘れていた事を少し思い出す事もある。
古くて新しい小さな発見。何年、何十年と経って、見る時・読む時によって
感じ方、関心の箇所が変わるのも楽しい発見だったり。
そして相も変わらずなところも。笑

ところで、フィレンツェに建つジョヴァンニ・ミケルッチの
サンジョヴァンニバッティスタ(洗礼者ヨハネ)教会、別名「太陽の高速道路教会」
外観は見る方向によって異なる形が、コルビュジェのロンシャン礼拝堂を
彷彿とさせる気がしなくもないけれど(ジョヴァンニ・ミケルッチさん、ごめんなさい!)
内部がとても興味深いです。(どう興味深いかは長くなるので割愛)
素人なので、構造云々の善し悪しは分からず
総合的にどうとか判断できないのが残念ですが、笑)それは抜きにして
自分の好きな物、気になるもの、良いなと思うものは瞬時に多くの情報を
キャッチして判断しているんだろうなと..。
そして...教会建築は非物質的な領域の部分に関しても理解しなくては分からない。
というのがつくづく思う事で、当たり前なのだけれど重要な事と思う(そこが面白い)

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